その場所の気候や自然や歴史や人の暮らしまでをも含めた全体の状態を表す「風土」という言葉をずっと大切にしています。「風土」は固定された状態ではなく、その場所の気候や自然や人のかかわりの積み重ねにより少しずつ変化しています。その「風土」から生まれるべくして生まれてくる状態の一つとして景観や都市や建築を捉えたい。「風土」を「layer=層」のように透かし重ねることから見える、近い未来にふさわしい生活の場やモノコトを生み出せる一枚の「layer=層」でありたい。そのような想いを込めて、アトリエに「Layer Architects」と名付けました。
「OPEN DESIGN オープンデザイン」(オライリージャパン発行)という本と出会いました。そこには「オープンデザインとは、制作者によって、自由な頒布と記録が許可され、さらに改変や派生まで認められたデザインである」と定義されていますが、それよりも、この本のサブタイトル〜参加と共創から生まれる「つくりかたの未来」〜に強く魅かれました。私が専門としている建築もそうですが、専門家ではない人から見ると「closed=クローズド=閉じられた」な印象を抱かれます。実際には多くの人や物や技術の参加と共創で建築はつくられているのですが、それは「専門」の人や物や技術が前提のプロセスです。専門ではない人から見た時の閉鎖的な印象は、このプロセスから由来するのかもしれません。「専門家」としての責任や職能を全うすることは大前提として、そこから一歩踏み出して、「専門」という閉鎖的なプロセスを「opened=オープンド=開かれた」な状態とし、専門でない人も参加しやすい共創のプロセスを加えることで、より多くの人々にとって喜び溢れる生活の場やモノコトが生まれるのではないか。そのような「つくりかたの未来」を目指したいという想いを込めて「 + Open Design」です。